「空室リスク軽視」銀行アパートローン急増の危険

気になる記事があったので。

土地の有効活用を名目とするアパート・マンション経営に伴う融資、俗にいう「アパマンローン」のあり方に金融庁が目を光らせ始めている。銀行が積極化させているアパマンローンがリスクを軽視したビジネスに傾斜している懸念があるからだ。

 アパマンローンはデベロッパーとの提携の形態で実行されるのが一般的。デベロッパーが土地所有者にアパート・賃貸マンションの建設を提案し、建設資金を銀行が融資する。土地所有者は賃貸収入で元利を返済し、完済後は賃貸収入をフルに得る。事業化すれば、不動産の相続税対策というメリットもある。

 このように説明すると、土地所有者にとってはメリットづくめのように聞こえるかもしれない。だが、実際にはリスクが存在する。なかでも最大のリスクはアパート、賃貸マンションの空室リスクである。空室が多くなるほど賃貸収入は見込み倒れとなるからだ。

 賃貸収入が利息を下回れば、土地所有者は資産取り崩しとなりかねない。今後、人口減少が加速することを踏まえると、空室リスクは決して軽視できない問題のはずである。

 ところが、近年、超低金利と貸し出し難が重なって、銀行業界ではアパマンローンに拍車がかかるばかりだ。なかでも、一部の地方銀行は地元の貸し出し難が深刻化するなかで、首都圏に進出してこのローンを大きく伸ばす動きを活発化させている。

 こうした状況に懸念を感じだしたのが金融庁である。たとえば、融資の審査に際して「デベロッパーと土地所有者が交わす契約書を綿密にチェックしているか」を注視し始めている。一般に契約には空室発生の場合にデベロッパーがサポートする「空室補償」が盛り込まれているが、その有効期間がきわめて短期に限られているようなケースがあるからだ。

 補償期間を過ぎれば当然ながら補償はされない。空室が増えれば賃貸収入が細る。ローン返済の重みは増さざるを得ない。

 一方、金利上昇リスクも無視できない。金利が上昇すれば利息が増える。賃貸収入が増加しない限り、事業者の負担は重くなる。

 そこで、金融庁はアパマンローンに関して銀行に「ダウンサイドシナリオ」(悲観的シナリオ)の策定を求めている。

 具体的には、入居率80%、裏返せば空室率20%と、貸出金利が年1%ずつ上昇したケースを想定した場合の債務者の負担増大と、その耐久力を検証させるアプローチである。

 賃貸ビジネスの事業性を厳格に評価し直すことを求めるのが目的だが、同時に、これを通じてリスク感覚の乏しい安易なアパマンローンに歯止めをかける狙いもあるようだ。

 アパマンローンは1980年代末のバブル経済局面において、多くの銀行が野放図に拡大させた。そして、事業者が返済不能に陥り、多くのローンが不良債権化した経緯がある。当時、銀行業界は「不動産担保さえあれば、緩い審査で融資した」として厳しい批判を浴びた。

 それから25年以上が経過し、多くの銀行で世代交代が進んでいる。当時の苦い記憶も希薄化してきている。だが、災難は忘れた頃にやってくる。貧すれば鈍するというような安易なローンビジネスは銀行利用者を苦境に陥らせかねない。金融庁の動きは、その警鐘と言える。

 株やFXなど、他の投資商品と比べると比較的リスクは少ないと考えられがちな不動産投資だが、一度「負のスパイラル」に陥れば、その時は多額の出費を覚悟しなければならないと思うです。